食品関係の営業許可は大まかに分けると「調理業」「製造業」「処理業」「販売業」の4つに分かれており、そこからさらに細かく分かれて34種類あります。
「調理業」の中にある許可に「飲食店営業許可」と「喫茶店営業許可」があります。
一見、カフェや喫茶店を開く場合「喫茶店営業許可」を取れば良さそうですが、実はそうとは限りません。
ここでは喫茶店を始めるのに必要な許可を見ていきましょう。
喫茶店で何を提供するか
2つの営業許可、同じ調理業でも何が違うかというと、「何を提供しているか」が1番の違いです。
喫茶店営業許可は食品衛生法施行令35条で「喫茶店、サロンその他設備を設けて、酒類以外の飲物、または茶菓を客に飲食させる営業」となっています。
わかりづらいですよね。
わかりやすくいうと酒以外の飲み物と、調理しない食べ物のみの提供になります。
調理しない食べ物とは例えばクッキーやパンなどを仕入れて手を加えずお皿に乗せて出すなどになります。
かき氷を作るのは調理に当たらないとされてます。
それに対して飲食店営業許可は「食品を調理し、または設備を設けて客に飲食をさせる営業」とされており調理した食事も出せますし、お酒も出すことができます。
調理には電子レンジで温める行為などもあたります。
喫茶店営業許可だとかなり限られたものしか提供できないのがお分かりいただけたと思います。
どのような行為が調理にあたるか判断できない場合は保健所に確認するのが確実でしょう。
ちまたにある喫茶店は、「喫茶店」や「カフェ」の名前をしててもほとんどが飲食店営業許可を取って営業しているというのが実情です。
喫茶店営業許可の方が取るのが簡単?
喫茶店営業許可を取るために必要な条件は、食品衛生法と各都道府県の条例により定められています。
※ここでは神奈川県の場合を書いていきますのでご注意ください。
営業許可を取るには人的要件や施設要件がありますが、神奈川県での場合は飲食店営業許可と喫茶店営業許可の取得するための要件は基本的には一緒です。
同じ関東でも千葉や東京だと飲食店営業許可の方が取得条件が若干厳しくなりますのでご注意ください。
飲食店営業許可の取得に必要な要件は下記のページをご覧ください。
喫茶店営業許可、メリットはあるの?
ここまで読んでいただいて「喫茶店営業許可」はほとんどメリットがなさそうですが、メリットもあります。
それは申請手数料が安いことと出店場所の規制です。
※申請手数料は各自治体で違う場合があります。
飲食店営業許可の申請手数料は16,040円に対して喫茶店営業許可の方は9,640円と安くなっています。
また更新の際の手数料も飲食店営業許可は9,640円に対して喫茶店営業許可は半額の4,820円となっています。
更新期間は5年〜8年です。
もう一つのメリットの出店場所の規制ですが、お店を出すには営業可能な用途地域である必要があります。
用途地域は下記の記事に書いてあります。
飲食店営業許可だと第二種低層住居専用地域という用途地域だと、兼用住宅でお店が50㎡以下かつ建物の延べ面積の2分の1未満で2階以下のお店しか作れないのに対して、喫茶店営業許可だと150㎡以下で2階以下のものであればお店を作ることができます。
出店したい場所が第二種低層住居専用地域の場合は、喫茶店営業許可の方が若干お店の規制は少ないです。
まとめ
まとめると以下のようになります。
喫茶店営業許可 | 飲食店営業許可 |
食事は調理をしないもの | 調理した食事を提供できる |
お酒NG | お酒OK |
申請手数料 9,640円 更新手数料 4,820円 | 申請手数料 16,040円 更新手数料 9,640円 |
第二種低層住居専用地域での営業 150㎡以下で2階以下 | 第二種低層住居専用地域での営業 兼用住宅でお店が50㎡以下かつ建物の延べ面積の2分の1未満で2階以下 |
喫茶店を開業時は調理したものを提供しなくても今後、お客様のニーズに合わせてメニューを変更するなどお考えの場合は、経営に柔軟性を持たせるためにも飲食店営業許可の取得をお勧めします。