「飲食店やバーはどんな場所でも出店できますか?」
最初に簡単に結論を書くと、飲食店やバーを出店できない場所があります。
飲食店やバーなどの出店を規制しているものに「用途地域」というものがあります。
ここでは用途地域について詳しく書いていきます。
用途地域とは?
用途地域とは簡単に言うと、地域ごとに建てれる建物を法律で決めたもので、建物ごとにどういったお店が出せるかを定めているものです。
用途地域は土地を13の地域に分けています。
普段生活していると意識することはあまりないですが、皆さんがお住いの家や職場、買い物をする場所もほとんどが13の地域のいずれかに分けられています。
※2018年4月1日から新しく「田園住居地域」が追加されました。
下記が13の用途地域です。
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中高層住居専用地域
- 第二種中高層住居専用地域
- 第一種住居地域
- 第二種住居地域
- 準住居地域
- 田園住居地域
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
- 工業地域
- 工業専用地域
これら13の地区ごとに建てれる建物やできるお店が決められています。
例外になりますが用途地域の指定のない区域もあります。
また、お店が出せたとしても面積の制限などを受ける地域もあります。
下記では飲食店、深夜までやるバー、キャバクラなどの社交飲食店ごとに出店できる用途地域と出店できる面積の制限をまとめます。
- 第一種低層住居専用地域
兼用住宅でお店が50㎡以下かつ建物の延べ面積の2分の1未満のもの - 第二種低層住居専用地域
兼用住宅でお店が50㎡以下かつ建物の延べ面積の2分の1未満のもの
喫茶店なら150㎡以下のもの - 第一種中高層住居専用地域
500㎡以下で2階以下のもの - 第二種中高層住居専用地域
1500㎡以下で2階以下のもの - 第一種住居地域(制限なし)
- 第二種住居地域(制限なし)
- 準住居地域(制限なし)
- 田園住居地域
店舗や飲食店の部分が2階以下で床面積の合計が150㎡以内のもの
店舗や飲食店の部分が2階以下で床面積の合計が500㎡以内のもの
(田園住居地域及びその周辺の地域で生産された農産物の販売またはそれを材料にした料理の提供を主たる目的とする場合や、原材料とする食品の製造・加工を主たる目的とする場合に限る) - 近隣商業地域(制限なし)
- 商業地域(制限なし)
- 準工業地域(制限なし)
- 工業地域(制限なし)
(深夜酒類提供飲食店営業届の必要な店)
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
- 工業地域
(風俗営業1号許可が必要な店)
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
- 工業地域
これらの用途地域でない場合は許可が出ません。
キャバクラなどの社交飲食店は用途地域とは別に保全対象施設の近くで営業ができないという制限があります。
保全対象施設とは学校や病院のことをいいます。
また、建物によっては用途地域をまたぐものもありますが、建物すべてが営業可能な用途地域に入っていないといけない点もご注意ください。
用途地域はいつ確認する?
やりたいお店に合う物件が見つかったら、賃貸契約を結ぶ前にお店の場所がどの用途地域か確認してください。
物件のある場所が、飲食店の出店を禁止している用途地域であれば飲食店の許可は出ません。
間違っても賃貸契約をしてしまったり、お店作りが終わってから確認するなどしないようにご注意ください。
用途地域はご自身で確認することもできます。
方法はネットで「地域名+用途地域」と調べると役所が公表しているものがあったり、役所の窓口で都市計画図を見してもらい確認する方法などもあります。
建物が用途地域の境目にあったりする場合は建物全体が営業可能地域にあるか確認するため、市役所の窓口で職員に直接確認するのがいいでしょう。
まとめ
いい物件と出会いすぐにでも契約したい気持ちもわかりますが、お店が営業できない用途地域であればどんな好立地で好条件でも営業許可は出ません。
大家さんや不動産さんから「前も飲食店だったから大丈夫」など言われても前の店が無許可営業だった場合もあるので、必ず賃貸契約をする前に用途地域の確認をしてください。